上智大学の理工学部情報理工学科高岡詠子教授らは、2015年より医療用多言語対応情報提供システムSoCHAS(ソーカス=Sophia Cross-lingual Health Assistant System)を開発しています。SoCHASは医療・看護・福祉・介護分野に特化したタブレットアプリです。
本システムに関し、7月より聖マリアンナ医科大学東横病院で実証実験を開始いたします。
本学保健センターでは、留学生を対象に2017年5月よりSoCHAS保健センターバージョンの実証実験を行っておりますが、今後の実用化を目指し、実際の病院でどの程度役に立つのか、またより機能的にするための実用からの見地を得るために、実証実験を行う運びとなりました。
[開発目的]
来る東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、訪日外国人旅行者の受入れのための環境整備が急ピッチで進められています。SoCHASは、彼らが医療機関を受診した際に生じるコミュニケーション問題を解決するためのツールとして開発されたタブレットアプリです。医師、看護師、介護福祉士など、医療、福祉従事者と日本語を母語としない人々とのスムーズなコミュニケーションを支援します。
[SoCHASの特徴]
診療科選択から、医療機関での受付、問診、受診、会計、投薬という一連の流れで想定しうるコミュニケーションを洗い出し、医師の監修のもと約2万文例に取りまとめ、さらに5万語を収録した単語帳も有しています。タブレット端末にアプリをインストールする形式で、問診票よりも多岐にわたるコミュニケーションが対話形式で展開されます。例えば“痛み”でも、部位ごとの微妙な差異まで表現し、より的確な診療、処方への橋渡しを試みます。SoCHASは翻訳のためのツールですが、機械翻訳ではありません。あらかじめ想定されるコミュニケーションのシーンを用意し、状況に応じてユーザーがその中から選択していきます。用意された各シーンは事前に翻訳されているため精度はほぼ100%です。また、辞書機能を設けることで、想定シーンに無くユーザーが知りたい単語や表現を多言語で提供することができます。
[対応言語]
日本語の他11言語(英・中・韓・ミャンマー・インドネシア・ベトナム・タイ・ポルトガル・スペイン・ロシア・フランス)
[実施場所]
聖マリアンナ医科大学東横病院(川崎市中原区小杉町3-435)
[実施期間]
2018年7月2日~2019年3月31日
[実施概要]
総合受付での自動問診、診察室の2方面で日本語を母語としない受診者を対象に実施
自動問診:外国の方にとっては自分では診療科を選ぶ習慣がないため、総合受付で科を特定するという、外国人の習慣に近い形での実証実験を行います。加えて、通訳なしでもコミュニケーションがスムーズに行われるかどうかを検証します。
実験後、SoCHASアプリの機能に不足している点、不要な点、アプリで解決できなかったこと、利点などのフィードバックを受けた上でアプリの改良を行い、2020年への展開に備えます。
本研究の詳細については、以下のプレスリリースをご覧ください。
プレスリリース全文(1.15 MB)
【本件に関する問い合わせ先】
上智大学理工学部情報理工学科
教授 高岡 詠子
TEL:03-3238-4123
sochas-info@ml.sophia.ac.jp
なお、こちらのニュースは上智大学HPにも掲載されています。