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2018.03.24

江馬研究室の学生が国際会議で受賞しました

機能創造理工学科江馬研究室の山本和弥さん(理工学研究科理工学専攻物理学領域博士前期課程2年)が国際会議「Perovskite Photonics and Optoelectronics (PEROPTO)」 において受賞しました.そこで山本さんに受賞された業績についてご紹介いただきました.


学会名 :Perovskite Photonics and Optoelectronics (PEROPTO)
発表題目:Optical properties of cavity polaritons in microcavities containing organic-inorganic two-dimensional perovskite materials
受賞日 :2018年3月1日
場 所 :レンヌ(フランス)
賞 名 :ポスター賞
指導教員:江馬 一弘 教授(理工学部機能創造理工学科)
参考URL:https://twitter.com/search?q=%23PEROPTO
:https://twitter.com/nanoGe_Conf
備 考:山本さんは学部学生時代に「系統的科学技術英語教育」修了認定証を取得しています.今回の受賞は上智大学理工学部の英語教育が大きく結実した結果です.なお,この研究は上智大学・産業技術総合研究所・佐賀大学の共同研究です.

山本さんの研究の背景はどのようなものでしょうか?

無機物質と有機物質が複合した材料をハイブリッド材料と呼びますが,その中でもハイブリッドペロブスカイト材料というものが,最近太陽電池材料として大きな注目を集めています.私の研究も,このハイブリッドペロブスカイト材料を用いていますが,太陽電池への応用ではなく,新しいタイプのレーザー光源を目指したものです.

その材料はなぜ太陽電池材料として注目されているのですか?

この材料を用いた太陽電池はペロブスカイト太陽電池と呼ばれ,2009年に日本の宮坂力先生(桐蔭横浜大学)が初めて発電を報告した,日本発の太陽電池です.最初に報告されてから,数年の間に急速に発電効率の向上が達成され,高効率だけでなく,安価で簡単な製造方法で作製できるというメリットがあります.現時点では,耐久性などにまだ問題がありますが,近い将来に実用化される大きな可能性を持った材料で,世界中で爆発的に研究が進んでいます.

でも,山本さんの研究は太陽電池でなく,新しいタイプのレーザー光源なのですか?

実は,このハイブリッドペロブスカイト材料は,太陽電池材料として脚光を浴びる以前に,上智大学・東京大学・佐賀大学の共同研究として,科学技術振興機構(JST)のCREST研究(代表:上智大学・讃井浩平・1997~2002年度)の支援を受け,発光特性や非線形光学などの研究を行っていました.今では,当時の成果が世界中に広まり,太陽電池材料だけでなく,発光や非線形を利用したデバイスへの応用研究も活発に行われています.私の研究もその流れの一つです.

山本さんの研究はどのような内容ですか?

内容は複雑なので,イメージだけを述べます.まず,ハイブリッドペロブスカイト材料を特殊な構造の中に組み込んだもの(「共振器」と言います)を作製します.その共振器を上手く制御すると,その中で,光と物質が混ざった状態(「ポラリトン」と言います)を作ることができます.このポラリトンはある条件下では,レーザーと同じような光を共振器の外に放射します.これが,新しいタイプのレーザー「ポラリトンレーザー」です.いくつかの材料系で,ポラリトンレーザーは確認されていますが,ハイブリッドペロブスカイト材料を用いたものは,室温で実用的なレーザー光を得ることが期待されます.私の今回の研究では,ポラリトンレーザーの実現にまでは到達しませんでしたが,室温で安定なポラリトンが生成されることを確認できました.

今回ポスター賞を受賞できた要因は何だと思いますか?

私の研究では,ポラリトンレーザーの実現まで至っていないのですが,室温で安定なポラリトンが確認できたことと,ポラリトン同士の相互作用を観測することができました.また,共振器の作製に高額な装置を必要とせず,簡便な方法で実現できたことも評価されたと思います.そして,何よりも英語の質問に対して,堂々と対応できたことが一番良かったと感じる点です.これは,理工学部の英語教育のおかげでもありますし,研究室に在籍していた英語コースの留学生との日々の議論で身につけたものだと思います.