理工学部機能創造理工学科の下村和彦教授らの研究チームは、2017年9月、高機能・高集積光デバイス集積化を支える異種材料貼り合わせ技術を用いて、シリコン基板上の半導体レーザーにおいて化合物半導体上と同等のしきい値電流密度を得ることに成功しました。これによって、シリコンプラットフォーム上に光源と多種多様なデバイスの集積が可能になるとともに、低コスト、大量生産可能な光集積回路の実現が期待できます。
近年、光インターコネクションを用いたボード間、チップ間、さらにはチップ内のデータ伝送の低消費電力化や小型化が求められています。光インターコネクションの実現手段として、シリコンフォトニクス(*)という技術が着目されています。
下村研究室では、シリコンフォトニクスにおける光源集積化の課題を克服するために、シリコン基板上に親水性直接貼付法による基板貼付技術を用いて薄膜InP層を貼り合せたInP-Si 基板を作製し、この基板上に有機金属気相成長(MOVPE)法を用いてInP系の光デバイスを作製する手法を提案してきました。
(*)シリコンフォトニクス:シリコンプラットフォーム上に変調器や波長フィルタ、受光器を集積化する技術。光源の集積方法および大量生産に課題がある。
室温連続発振、長時間駆動のためには、電流注入幅を低減したリッジ構造、埋込み構造の導入等が必要となります。またしきい値電流を低減するために量子井戸、量子ドット等の量子構造が有効となり、これらのレーザー構造作製を行うとともに薄膜InP層を取り出すInP基板の再利用についても検討中です。
本研究の詳細については、以下のプレスリリースをご覧ください。
プレスリリース全文
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上智大学理工学部機能創造理工学科
教授 下村和彦
TEL: 03-3238-3422
kshimom@sophia.ac.jp
なお、このニュースは上智大学HPでも掲載されています。