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2015.10.14

理工学部物質生命理工学科の近藤次郎准教授らがDNAのA-T, G-C塩基対に代わる天然塩基対C-Ag-C(銀含有)の構造を解明

DNAのA-T, G-C塩基対に代わる天然塩基対C-Ag-C(銀含有)の構造を解明
DNAと銀それぞれの特性を融合した環境負荷の低い新素材の開発に期待
~化学分野で世界最高峰の学術雑誌アンゲヴァンテ・ケミー国際版で発表~

理工学部物質生命理工学科の近藤次郎准教授は、神奈川大学工学部の小野晶教授、徳島文理大学薬学部の田中好幸教授らと共同で、DNAのA-T, G-C塩基対に代わる銀含有天然塩基対C-Ag-Cの立体構造を世界で初めて明らかにしました。この成果は、化学分野において世界最高峰の学術雑誌Angewandte Chemie International Edition (アンゲヴァンテ・ケミー国際版)のオンライン版で 、2015年10月8日付で先行公開されました。

DNAはA, T, G, Cの4種類の塩基でできており、これらがA-T, G-Cの組み合わせで塩基対を形成することで二重らせん構造を形成します。DNA二重らせんは直径わずか2ナノメートル(ナノメートル=10億分の1メートル)の直鎖状構造をもち、すべての生命の細胞中に存在する環境負荷の極めて低い分子です。一方、金属の中でも特に銀は、導電性や熱伝導性に優れ、高い抗菌活性も有しています。

近藤准教授らは、DNAのA-T, G-C塩基対を、銀含有天然塩基対C-Ag-Cで置き換えられることを立体構造解析によって明らかにしました。これによって、DNA二重らせん中に銀を取り込ませることが可能になり、DNAと銀のそれぞれの特性を融合させた新素材(ナノサイズの電線や抗菌繊維など)のデザイン・開発が期待できます。

【本研究の要点】
・ 銀含有天然塩基対C-Ag-Cの立体構造をX線結晶解析法で明らかにした
・ DNAのA-T, G-C塩基対は、C-Ag-C塩基対で置き換えられることを明らかにした
・ DNAと銀の特性を融合させた新素材(ナノサイズの電線や抗菌繊維など)のデザイン・開発が可能になった

【論文名および著者】
雑誌名 : Angewandte Chemie International Edition (アンゲヴァンテ・ケミー国際版)
論文タイトル : High-resolution crystal structure of Silver(I)-RNA hybrid duplex containing Watson-Crick-like CSilver(I)C metallo-base pairs
オンライン版URL : http://dx.doi.org/10.1002/anie.201507894
著者(共著) : Jiro Kondo* (上智大)、Yoshinari Tada (上智大)、Takenori Dairaku (東北大)、Hisao Saneyoshi (神奈川大)、Itaru Okamoto (神奈川大)、Yoshiyuki Tanaka (徳島文理大)、Akira Ono (神奈川大)

なお、このニュースは、プレスリリースされ、本学公式HPにも掲載されています。