この奨学金は、テイヤールを敬愛し、彼の理想に共鳴したベルギーの篤志家のご厚意により、(旧)上智大学生命科学研究所の故北原隆名誉教授を通して上智大学理工学部に恵与されたものです。例年、7月上旬にテーマが示され、12月はじめを締め切りとして学部4年次生及び大学院学生(理工学部・研究科だけでなく、他学部・研究科の学生の応募も歓迎)を対象とする懸賞論文募集が行われ、金賞1名(30万円)、銀賞1名(20万円)、銅賞2名(各10万円)に賞状、賞金が授与されます。
テイヤール・ド・シャルダンについて
イエズス会司祭であり、古生物学者であったテイヤール・ド・シャルダン(TEILHARD DE CHARDIN)は、1881年フランスで生まれました。旧石器時代人の石器を発見し、有史以前の人間化石の年代を示す有力な証拠を発見するなど特に中国における研究報告を次々に発表して古生物学者、地質学者として国際的にも広く知られています。彼は自分の専門領域を越え、宇宙と生命進化を意義づけ、自然の中の人間を位置づけて考察しました。彼は人間が自分の未来だけでなく、生命の未来、地球の未来に対しても責任を自覚するよう促しています。シャルダンは1955年にその生涯を閉じますが、彼の死後60年以上を経た今も全ての科学者にとって一つの模範であり続けています。それは彼が現代の諸問題に対するできあがった一つの解決策を与えているという意味ではなく、その模範を通して、これらの問題の意味をよく見るための正しい態度を私たちに示しているからであると思われます。
- 2023年度受賞論文
- 金賞:松本 健(文学研究科哲学専攻)生成AIとは何者か —生成AIの利用に関する分析と生成AI自体をめぐる哲学的考察—
- 銀賞:安藤 慎(理工学部物質生命理工学科)構造生物学における生成AIの活用 ―技術的特異点の超越とオメガ点への近接―
- 銀賞:田口 優汰(文学研究科哲学専攻)人間に固有なもの、自らの在り方への問い:生成AIから考えて
- 銅賞:吉田 涼風(理工学部機能創造理工学科)生成AIを通じた「道徳性の定義づけ」
- 銅賞:NIANGUE JOSEPHINE ANDREA(地球環境学研究科地球環境学専攻)“Everything that rises must converge” Pierre Teilhard de Chardin. Should education converge to Generative AI the future in Educational system and process?
- 北原隆メモリアル賞:該当なし
- 2022年度受賞論文
- 銀賞:イクラモフ リオン(法学部国際関係法学科) 現代社会が抱える課題の共通点とテイヤールの思想から考える解決への道筋
- 銀賞:LUHATA LOKADI PIERRE(理工学研究科理工学専攻グリーンサイエンス・エンジニアリング領域)
- 銅賞:PANGILINAN LORENZO LLORENTE(グローバル社会専攻地域立脚型グローバル社会研究コース) Towards a politics of communion and the common good:Some reflections on Chardinian thought,international relations and global politics
- 北原隆メモリアル賞:該当なし
- 2021年度受賞論文
- 金賞:LUHATA LOKADI PIERRE(理工学研究科理工学専攻グリーンサイエンス・エンジニアリング領域) Building the world in the post-pandemic era: The spiritual renewal of the earth
- 銀賞:NOEL RAFAEL JOSE MARQUEZ(グローバル・スタディーズ研究科グローバル社会専攻地域立脚型グローバル社会研究コース) Rebuilding the World in the Post-Pandemic Era: Spatial Inequality and the Ethics of Radical Communion in the Thought of Teilhard de Chardin
- 銅賞:GARCIA VERDEZOTO LUIS SEBASTIAN(地球環境学研究科地球環境学専攻国際環境コース) Building the world in the post-pandemic era Necessary changes for the creation of a better world
- 北原隆メモリアル賞:横濱 佑三子(実践宗教学研究科死生学専攻) ポストパンデミックの世界構築 ―テイヤールの思想に学ぶ、「生命」の自覚を基盤とした世界構築の可能性―
- 2020年度受賞論文
- 金賞:該当なし
- 銀賞:LUHATA LOKADI PIERRE(理工学研究科理工学専攻グリーンサイエンス・エンジニアリング領域) My research amidst the COVID-19 pandemic(2020):Towards an ever greater consciousness
- 銅賞:PANGILINAN LORENZO LLORENTE(グローバル社会専攻地域立脚型グローバル社会研究コース) Towards a politics of communion and the common good:Some reflections on Chardinian thought,international relations and global politics
- 北原隆メモリアル賞:該当なし