チャン ユエリン
博士(工学)(首都大学東京)
バイオメカニクス(生体力学)は生物学的構造における力とその効果に関する学問である.ヒトにおける力の伝播経路や力による変形を明らかにすることによって,各組織の状態を把握することができる.近年,スポーツ工学やリハビリテーションなどにも幅広く適用されている.
当研究室では,様々な動きにおける体の力学負荷を可視化することを目指している.コンタクトスポーツ・交通事故等で頭部が強い衝撃を受けた場合に,脳震盪をはじめとする頭部外傷が引き起こされることがある.衝撃を受けた事実と医療的に診断された症状が明らかであるが,衝撃によってどのような力が作用したのかどうしてこのような症状になったのかはいまだにブラックボックスである.3次元の動作解析と衝撃シミュレーションを使って衝撃による力学的負荷を示すことによって,発症のメカニズムの解明や受傷部位の推定を可能となる.さらに,保護装置の開発や損傷の早期診断の一助となることが期待できる.